【弓毛についてわかったこと】 また最近入荷した楽弓(コントラバス、チェロなど)毛替え用の黒毛について
こんにちわ皆さんベースランドです。
以前からお問い合わせいただくことが何度かあったのですが、ついに弓毛の黒が入荷いたしました!
イタリア産の強く太い毛でより引っ掛かりも強く、しっかりと発音をさせるための力となってくれるでしょう!
毛替え価格や作業時間、方法など基本的に白毛と同じですのでご安心下さい。
この記事では今までの活動で分かってきた擦弦楽器における弓毛のことについて、お話できればと思います。
擦弦楽器の弓毛の歴史
歴史についてはそれほど詳しくないためサクッとお話します。また所説あるためこれに限った話ではありませんことをご承知ください。
擦弦楽器で弦を毛でこするというアイデアはロングトーンを出しやすくし、連続した音の重なりによって大きな音を生み出し、またきれいな音色を生み出すことを可能としました。
画期的なアイデアですが、いつどこで誰が思いついたのかはわかっていません。
初期の頃には木の棒に松脂をつけて弦をこするという時代もあったようです。
聞いたことがあるかたもいるかと思いますが、バイオリン自体の歴史もはっきりしたことはわかっていません。16世紀頃に現在のバイオリンの原型ともいわれるのフィドル(現在ではほぼバイオリンのことを指すようです)が突然登場しますがそれまでの歴史的進化についてはわかっていません。
⇒歴史的には全然わかっていないのですね😅
現在の弓の形は18世紀後半にフランスのフランソワ・トルテが考案しました。
コントラバスの弓の形にはフレンチ式(ボッテシーニ式)、ジャーマン式(ドラゴネッティ式(あるいはシマンドル))がありますがここらへんの歴史的なことはわかりません。 ※僕が知らないだけなので興味がある人は調べてみてください😊
なぜ馬毛なのか
歴史的に様々な動物の毛を試したことは想像できますが、なぜ現在は馬毛を使うと決まっているのでしょうか。
バイオリン弓の長さは大体73~74cmほどです。また、コントラバス弓(ジャーマン式)は75cmくらいです。
この長さの毛を生やす生物はそれほど多くはないとおもいますし、馬のように人が飼育をしている生物でこの長さの毛が取れる動物は他にいないと思うので馬毛という選択は必然だったかもしれません。
あまりちぢれていない毛質で太さが均一、ある程度丈夫というのもポイントですね。
擦弦楽器の仕組み
力的な話ではないですので複雑な振動やそれによる音への変換などについてはここでは言及しません。
シンプルに考えれば毛によって弦がこすれて音がなっているのです。弦の太さや長さ、硬さなどによって固有の帯域に振動をします。
あとは皆さんが糸巻を巻いてテンションを高めることで音程が決まります。
具体的にはA線の規格で作った弦を張力を高めていきます。ちょうど弦の振動域が440Hzになった時、それがA(ラ)の音に聞こえるというわけです。
弦がすべておなじ太さであったら4番線はゆるゆるに、1番線はパツンパツンになります(笑)
太さを調整して調弦したさいにすべての弦が同じくらいのテンションになるようにしているのです。
弓の毛に松脂をつけることで弦との摩擦を高めて音を出しやすくしています。(松脂がなくても音は出ます。)
さらに空洞の本体が音を共鳴させて大きくしています。
毛の性質
毛って何で出来ているの?
【LEBEL 毛髪の基本構造~それぞれの役割と特徴を知る~ 】より画像をお借りしています。https://www.lebel.co.jp/laboratory/column/3269/
大きく分けると表面のうろこ状のキューティクル(表皮)とコルテックス+メデュラ(毛芯)に分けられます。
キューティクルはタケノコのように硬いうろこ状の物が重なった構造で薬剤や汚れ、水分などから髪の毛を保護します。
毛芯は水分を多く含む連続した繊維状の物質で毛のコシや強さを決定します。
これらはケラチンなどのタンパク質や脂質で出来ています。
毛のキューティクルが重要?
『毛のキューティクルに松脂が付着して音が出るから長く使っているとキューティクルがなくなって音が出ない!?』と思っている方がいるかもしれません。
僕も長らくそう思っていましたが、これは間違いです。
人がシャンプーをするとき強くこするだけでキューティクルは傷つきパサつきます。
あんなに弦にこすりつけてキューティクルが無事なはずがないのです(笑)
むしろはキューティクルは松脂を弾いてしまうため、こすってキューティクルをはがし、毛芯に松脂が付着してから音は出始め、擦り切れるまでは使用できます。
松脂を塗りすぎて飴状に毛をコーティングしてしまったり、経年劣化で毛が固くなったりすると滑るようになったりします。(具体的には松脂の粉が舞うようになったりします)
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